蓮の料理 蓮料理店紹介
蓮は、 蓮根(肥大地下茎)、伸張地下茎(ランナー)、蓮実、茎、花・雄蕊、葉芽・頂芽、 等が全て食材になります。
 蓮はエスニックな風味、食感を楽しめる食材です。様々な調理が可能で、日本料理として新領域を生み出す可能性があります。

 蓮根にはカリウムが多く、ナトリウムを排泄する作用があり食事の塩分過多を緩和します。このため蓮実(蓮子)とともに中国では古くから漢方薬として活用されてきました。多くの生理作用に欠かせない多糖類、ミネラルが豊富に含まれていて、最近ではオリゴ糖を混ぜた蓮根汁を温めた汁を
で花粉症の症状が著しく軽減されることが解ってきました。アレルギー症状の改善効果が解ってきています。
 オーストラリア原住民は葉や花の茎から出る白く苦い汁を、腹痛や解熱の薬として用いてきています。茎には蓮根のような気孔があり、細菌、真菌繁殖を防ぐ成分が含まれます。
 蓮は多糖類の甘味、マグネシム化合物の苦みの薬効成分が含まれます。この味、香りにはストレス解消に有能な働きをなすところがあり、ヒンズー教、仏教の花としてアジアに広がった原因がありそうです。
 蓮は鮮度を保持する成分を多量に含む、医食同源の高質食材なのです。
 人間は消化、代謝(睡眠中)と瞑想によって行動をしています。何れも五感の統合による六感、直感蓮の全ての部位の働きが科学的に解明されてくれば、アジア宗教の根本に通じるところも見えてきそうです。
 蓮の花弁は栽培であっても、散った後も腐敗せず枯れて行きます。最近野菜果物が発酵熟成した土壌で生育すると、腐敗しないことが解ってきました。人工栽培の物は見かけが良くても、収穫後何日かで腐敗してしまいます。蓮には苦みのマグネシウム成分が多く含まれ、人工栽培の蓮根(肥大地下茎)以外腐敗することはありません。
 蓮実の中には青い芽があり、これも大変苦く腐敗菌の繁殖を抑えています。漢方薬(蓮子茶)として扱われてきました。

蓮 根
 蓮の肥大地下茎(通称=蓮根)は古くから知られた食材です。デンプン質、カリウムを多く含み芋のようなもちもち感や、ヤーコンに似たシャキシャキした歯触りの食感があり、多糖類を多く含みます。ほのかな甘みがあり、様々な調味料や他の食材とよく調和するので、バライティに富む料理を作ることができます。
蓮根酒
 蓮根を米に混ぜ発酵させると米より糖度が高いので、旨い酒や甘酒(会員辻田紀代志 試験)ができます。
 しかし、新鮮な蓮根を厳選する必要があり、品質の管理が難しく、ばらつきのない製品の量産には向きません。
 独特の香りと旨みがありますが、色がつきやすく、古酒にすると濁りもでるので、蒸留酒にした方が管理し易くなります。(蓮根焼酎は2、3社で生産されており、ネットで入手できます)
伸張地下茎(ランナー)
 葉や花を出す伸張地下茎(ランナー)はデンプン質が少なく、花の咲く時期は蓮根に近い歯触りですが、葉が枯れると芋がらの様な食感になり、味はあまりありません。蓮根収穫時に、福神漬け用として収穫されます。成長期の瑞々しく旨みのあるランナーを、日本では料理用に調達は難しいのですがタイ・ベトナムでは市場に出回っています。
 上部の写真の真っ白い地下茎が、立ち葉や花径を伸張させます。寒くなるとこの先端が肥大化します。また肥大化した側芽が出、その先から伸張地下茎が伸びても行きます。
 赤道に近い値域では、地下茎が肥大化せず、伸張地下茎が繁茂する品種があり、このような値域では新たに蓮を生育させるため、地下茎を掘り出して食用に供します。

 日本では伸張地下茎の使用は、福神漬けぐらいであまり馴染みはありません。
 ベトナムでは、伸張地下茎を缶やガラス容器に詰めて売られています。シャキシャキしていて、酢味のサラダ、油炒めなどにも使えます。最近は日本でも会席弁当の食材として
使われたり、高級料理の食材として活用例を見るようになっています。
葉芽・頂芽
 葉芽、頂芽は瑞々しく食感も良いので、酢やわさび等の調味料を利かせ、前菜や箸休めの珍味として楽しむことができます。成長点なので、ミネラル、ビタミン、アミノ酸、酵素など、最も栄養価が高い部位です。(通常は捨てられていて、勿体ない。)
 (頂芽は、ほろ苦味のサクサク感。葉芽は歯当たりが軟らかく、味はまろやか)通常これらを食する機会は稀です。
葉、花茎
 葉や花の茎を煮る焼くなどすると、乳状の苦い汁が独特の味に変化し、エスニックな風味のサラダになります。しかし栽培による確保が無ければ、若く柔らかい茎の大量調達は難しく一般的ではありません。オーストラリア原住民には、茎を焼いて食する習慣があるとのことです。茎にある苦汁は溢れる量で、象鼻杯(蓮葉に酒を転がしながら飲む)の酒の味に清涼感をもたらします。含むと、とても苦く薬効を感じます。
 茎は皮を剥くとサラダドレッシングで生食でき、塩炒めすると苦みが消えバルサミコ酢、豆板醤、甜麺醤、生醤油など癖がないので様々な味付けができます。
 右側が生の巻き葉、左側が湯通し巻き葉です。茹で過ぎてしまうと水気が失われ、瑞々しさが失われるので注意が必要です。
 青臭みのないので野菜として活用出来ます。湯通し殺菌後形状のまま小口切り、或いは斜め小口切りなどにするとサラダや炊き込みご飯に混ぜ合わせることなどが出来ます。

 キャベツの様な食感で、くせのない青み味野菜としてマヨネーズ和えにすると、それだけでも美味しく食べられます。吸い物、ご飯混ぜ込みなどにも良く合います。。
 巻き葉の茎は柔らかいので、様々料理に使えます。茹でてお浸しにしたり、天ぷらや、炒め物に好適です。
 蕗の食感に似ていて瑞々しく、かみ切ると蓮根同様いくつも中空の穴が見られ糸を引きます。花蕾の茎は、蕾のういちが柔らかく食べ頃です。
 皮はトゲがあり固いので剥く必要があります。皮は身離れしにくいので、鋭利な包丁、ピラーなどで表面を薄く削ぐのに手間を要します。
 この食材は味、食感ともに魅力的ですが大規模な蓮田に、密生していないと量を確保出来ないところが難点です。
 
乾燥葉
 香りのある品種の乾燥葉は水に戻してから、白身魚(鯛が最も合う)や、おこわを包み蒸しにすると、食材に香が移り口中に蓮香が漂います。

 中華食材店で入手出来る。(写真右)
花・雄蕊
 花弁は食感が無味で、加熱すると色や形が悪くなるので、皿の飾り以外食材には不向きです。蕾や花や花弁を天ぷらにする例もありますが、物珍さだけで、油が染みカサつき旨いとは言えません。
 しかし雄蕊の黄色い花粉は高貴な芳香を持ち、白湯を注ぐだけで香しく仄かに甘味のある茶となります。ベトナムでは、雄蕊の上に7回も茶の葉を載せ、容器の中で香りを移す技法を駆使して、王室伝承の蓮茶を生産しています。
 ネットで通販可。種類によって差があるが、かなり芳香を楽しめる。350円〜数千円程。
蓮 実
 蓮実は甘みがあり栗実の様な食感です。デザートやお菓子に向いていますが、香りのする品種もあるので、ライスに炊き込んだり、蒸したり様々な料理に利用できます。オーストラリア原住民は、粉にしてパンのように焼いて食べていました。日本では餡を練ることで、べとつかない甘み食感を得ますが、中国では月餅に蓮実を用い、サラサラ食感をもたらしています。
 芽に苦みがあるので残せば薬効もありますが、アジア圈では芽を抜いて調理します。芽は中国では漢方薬やお茶として活用されています。

 芽を抜き乾燥したもの、緑生冷凍蓮子、煮て砂糖をまぶした蓮実甘納豆が入手出来る。
 左側の蓮実は成熟し黒ずむ直前の未熟実です。開花から約20日目程の青々とした実で、ごく一部が僅かに茶色に色着き始めています。まだ酵素制限物質が生じないので、生食もできます。
 瑞々しく、サラダ、炊き込み飯、おこわからデザートに至るまで様々活用出来ます。
タイでは昔から完熟料理用に配慮して、完熟/未熟に分類して売っているようです。

 左側上は開花から2週目ぐらいで、まだ胚の育ちが不充分すぎ食用にはなりません。
 左側下は完熟で4週目位です。すでに酵素制限物質が生じ乾燥蓮実とさほど変わらず、栗のような舌触りになっています。殻が固く指で剥くのはもう困難です。
蓮は、茶に始まり、料理、酒を繰り返し、茶に戻る、懐石料理の膳をフルに用意できます。
 様々な調理法が可能なので、和・洋・中・東亜の創作料理を、容易に試みられます。

 仕込みに時間を要しない、カジュアルでヘルシーなフルコース料理も考案できます。(消化酵素を浪費しない老化防止の献立になる)
蓮根、茎、雄蕊、蓮芽、頂芽の調理法 
 湯通し、蒸す、煮る、焼く、炒める、揚げる、漬ける、切る、砕く、押しつぶす、擂る、絞る。


蓮実の調理法

 乾燥したものは水で戻し柔らかく煮込み用います。
 生、冷凍品は解凍し茹でて皮を剥き用います。


乾燥蓮葉
の調理活用法
(香りを発する品種の葉)
 餅米、鯛、甘鯛、石首魚(グチ)、鱸等を包み蒸すか、低温焼きに用います。
      蓮根に多く含まれるカリウムは、体内から余分なナトリウムを排出しますので、高血圧症や心臓病等の抑制効果があります。
     蓮懐石、蓮コース料理として献立すると、味、栄養、健康と三拍子揃い、精進料理としても通用します。